夕方、仕事終わりの帰り道。
ビルの間を抜けながら歩いていると、「カーカー!!」というやたら荒ぶった声が響いていた。
最初はスルーしようと思ったけど、なんか空気がただごとじゃない。
ふと地面を見たら──
そこにはまさかのカラスのリアル抗争現場が広がっていた。
ヤンキーの喧嘩?いや、これはカラス版クローズだろ。
地面では2羽のカラスが、もう1羽をガンガン突いてる。
クチバシで攻撃、足で動けないようにロック。
完全に“押さえ込み”してるやつ。
正直、学ラン着てるんか?って思うくらいの空気感。
体も黒いから余計にそう見えた。
脳内BGMが「クローズZERO」に切り替わった瞬間だった。
そしてやられてる1羽は、明らかに異常。
羽はバッサバサで、最初は暴れてたのに急にピタッと動かなくなった。
「え?え?これ……死んじゃった?」
「いや、てかこれ……カラス、だよな?」
一瞬、別の生物かと思うくらいボロかった。
上空の見張り役、そして──俺への制裁飛行。
その抗争を上から見てる“幹部”っぽいカラスがいた。
木の上で「カーカー…」って鳴きながら、ずっと見下ろしてる。
「こいつ、全体見てんな…」って思った数秒後。
気づいたら、そのカラス──
俺のすぐ横の木に移動してた。
(あれ、近くね?)って思って見上げた瞬間、事件発生。
バサァァ!!!!!
……頭のすぐ上、数センチの距離をカラスが低空飛行でかすめてきた。
一瞬で体がビクッて反応した。
「うわっ!こわっ!!」
「てか!俺、関係ないやつだよ!?」
咄嗟にカバンを頭にかざして、
「頭にフンついてないよな?」
「てか、頭皮やられたら俺の髪が……」って本気で思った。
そのときのカラスの表情、こう言ってた気がする。
「……おい、メンチ切ってんじゃねぇぞ。」
なんでここまで見てんだろ。
周りの通行人はみんな、数秒見て通り過ぎていった。
でも僕は──
いや、俺は──
1分以上その場にいた。
「このボロボロのカラス、逃げられるのか?」
「大丈夫か?やられて終わりじゃないよな?」
気づけば、完全に感情移入してた。
ただ、低空飛行されたこともあって「俺もやばくね?」って思い始めて、
静かに視線を逸らしてその場を離れた。
好奇心って、なんなんだろうな。
「なんでここまで見ちゃうんだろ」って思った。
普通に怖かったし、逃げようと思えば逃げれた。
でも、最後まで見届けたいって気持ちのほうが強かった。
たぶん、
カラスにかすめられても観察をやめられないタイプなんだろうな。笑
これはもう、
「ただの自然観察」じゃない。
俺の生き方そのものなんだわ。
余談:営業の神とカラスの神
この日、実は朝も印象的だった。
お客様先へ向かう途中、
外はアメザーザーの大雨。
「今日ツイてねぇな〜」って思ってたけど、
目的地の駅を出た瞬間、雨が止んで晴れてた。
「営業の神、俺を迎えてくれてるやん」って感じた。
……なのに帰りにカラスに狙われる俺。
バランスよすぎるやろこの日常。
結論:カラスは縄張りがあるからガン見しないほうが良い(笑)
今回学んだことはひとつだけ。
カラスは本気で縄張りを守ってる。
ガン見すると「敵認定」されることもある。
あの幹部カラスは言ってたはずだ。
「テメェ、どこの組のもんだコラァ」
でも。
怖くても、好奇心は止まらなかった。
だから僕はこれからも、
整え型の観察をやめないと思う。
▼カーム静也からの教訓
カラスに低空でかすめられても、人生は続く。
でも頭皮は守れ。帽子かぶれ。笑
以上、「整え型カラス観察記」第1話でした🪶
▼ある雨の日のコンビニの軒先話はこちら
コメント