70センチ。
関温泉スキー場の公式サイトに、そう書いてありました。
正直、「やばくね?」って思いました。
しかも当日は、まさかの晴れ。
前日まで雪マークが並んでいたのに、朝の空はすっきり青い。
「あれ、日頃の行い、いいんだな」
なんて軽く思いながら、妙高高原の山に向かいました。
2026年1月上旬、平日。
妙高高原インターを降りたときの気温は−5℃。
駐車場には、すでに何台かの車。
ゲレンデを見渡すと、ほとんどが外国人スキーヤーとスノーボーダーでした。
朝一のリフト待ちの日本人は、たぶん10人もいなかったと思います。
9時のリフト開始で、僕が乗れたのはだいたい15人目くらい。
ゲレンデに出た瞬間、景色と音が変わりました。
深く積もった新雪。
踏み込むたびに、足がズブっと沈む。
久しぶりの本気の深雪で、正直、脚はかなりきつい。
でも、不思議と頭はスーッと静かになっていきました。
仕事のことも、KPIのことも、
全部、どこかへ消えていました。
聞こえるのは、雪を切る音と、
遠くで誰かが「フォー!」と叫ぶ声だけ。
関温泉の山は、派手に盛り上げてくる感じじゃありません。
ただ、黙って、
「ここにいる?」と聞いてくるような山です。
斜面に立つと、景色がきれいすぎて、
逆に少し怖くなる。
自然って、優しい顔をしてるけど、
答えはくれないんだな、と思いました。
体はどんどん疲れていくのに、
頭だけが妙にクリアになっていく。
「ああ、これが雪山なんだな」
そんな感覚でした。
滑っていると、妙なことに気づきました。
後から友達に聞いた話ですが、
僕が非圧雪ゾーンをそのまま真っすぐ落としていると、
一人の外国人ライダーが、僕の後ろについてきたそうです。
僕は特別なことをしていない。
ただ、まっすぐ、スピードを乗せて滑っていただけ。
でも――
僕は加速。
後ろの外国人は失速。
そのままスピードが落ちすぎてしまったらしく、
圧雪ゾーンのほうへ吸い込まれていったらしいです。
あとで見たら、その外国人は、
圧雪の上で立ち上がって、
両手を上にあげて、首をかしげて、
「Why?」みたいなジェスチャーをしていたそうです。
正直、ちょっと笑いました。
ガリウムの青色のホットワックスを、少し多めに入れてきて本当によかった。
雪が深い日は、技術よりも、
板の走りがすべてを決めることがある。
昼過ぎ、レストランタウべに入る頃には、正直バテバテ。
14時半ごろ食堂に入ると、
スタッフさんたちが、ちょうどご飯を食べていました。
「まだご飯できますか?」
「すみません……ご飯食べてて。まだ大丈夫ですよ」
そのやりとりが、なんだかすごく良くて。
「このアットホームな感じがいいんですよね」
以前、取材されていた記事を見たことも思い出しました。
家族経営なんですよね。
ぜひ、この感じ、続けてほしいなと思いました。
そう思いながら、カツ丼を頼みました。
ここのカツ丼は、本当にうまい。
雪もいいけど、このレストランもいい。
ゲレンデでは、あえてご飯を食べないこともあります。
でも正直、レストランタウべを目的に来たいくらい、ここは好きです。
食べ終えたあと、数本だけ静かに滑って、この日は終わりにしました。
残り数本というところで、
スキー教室の男の子に「ハロー!」と声をかけられました。
思わず「こんにちは!」と返しました。
それくらい、この日の関温泉は、ほぼ外国でした。
体はへとへとで、
そのまま野尻湖にあるサウナへ向かいます。
雪山のあとに入る、あの場所は、
正直、今日いちばん「生きてる」感覚をくれました。
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ザ・サウナ|雪山のあとに入る、いちばん静かな場所(現在作成中)


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